先日、東京大学の「猫と新型コロナウイルス」についての研究が公表されました。

　その研究結果によると、新型コロナウイルスは猫同士で容易に感染が伝播することが確認されました。

新型コロナウイルスはネコの間で感染伝播する（東京大学医科学研究所）

確認されている限りでは、猫は犬と異なり呼吸器症状や消化器症状が現れる個体もいるようですが

人間に感染した場合と同様、明らかな症状を示さない事が多いようです。

また、海外ではネコ科動物の感染も確認されており、犬と比較すると比較的容易に感染が成立すると考えられます。

これは、新型コロナウイルスに対する猫の肺細胞の感受性、自身および同居猫に対する毛づくろい等の生態が大きく関わっているのではないかと推察します。

現時点で、新型コロナウイルスの「猫から人」への感染は確認されていません。

ただし、猫を飼育されている方また猫が好きで日常近距離で接触する可能性のある方は、

ご自身やご家族および飼育猫を守るために、以下の点について注意が必要と思われます。

• 飼育猫が接触する可能性のある人間が新型コロナウイルスに感染もしくは感染の疑いが生じた場合は、ウイルスを排出し感染させる可能性のある期間は同じ空間にいることを避け接触しない。
• 猫同士は容易に感染が成立する可能性がある為、飼育猫が不特定多数の猫と接触しないように室内飼育を徹底する。
• 新型コロナウイルスに限らず、動物と密接に接触した場合は「動物由来感染症」のリスクは一定程度常に存在するので、動物とのふれあいは衛生上常識的な範囲で行い（口移しで食べ物を与えたり口を舐めさせたりしない…など）、ふれあい後は手洗い消毒を徹底する。
• 人間と同様「無症状感染」も在りうるので、他所の猫との接触があった場合、飼育猫に接触する前に手洗い消毒を実施し服を着替える等の配慮が望ましい。
• 自身や近辺に新型コロナウイルス感染が発生し、かつ飼育猫に新型コロナウイルス感染を疑うような呼吸器症状、消化器症状が発生した場合は速やかに管轄の保健所およびかかりつけ動物病院の獣医師にまず電話で相談すること。

基本的に、完全室内飼育の猫ちゃんの場合は接触する方がウイルスを持ち込まない限りは新型コロナウイルスに感染することはあり得ません。

ご自身の身を守ることと同様に手洗い手指消毒うがい等の対策を徹底することでお互いのリスクを低減できます。

過剰に恐れず、正しい衛生管理を実施していきましょう。

不安な点、わからないことがありましたらお気軽に診察時にご相談ください。